2025-10-10

※お願い※必ずお読み下さい

こんにちは、はじめまして茜と申します。
なんて素敵にジャパネスクが大好きで瑠璃と高彬のCPが大好きです。悶々と妄想しているうち創作に至りまして取り合えず置き場を作りたいと思いまたなんて素敵にジャパネスクが好きで二次創作も好きという方に読んでいただけたらいいなと思いブログを作りました。 

一部ネタバレにもなる部分が出てくるかと思いますので未読の方はご注意下さい。 このブログは『なんて素敵にジャパネスク』著作者様、出版社様とは一切関係がありません。また創作の無断転用はご遠慮下さい。

更新は管理人が遅筆のためのんびりとしていますがよろしくお付き合いいただけたら幸でございます。
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2025-02-20

別冊はじめました

こんばんは、茜です。ご訪問ありがとうございます(*^^*)

拍手やコメントなど大変励みになっております。ありがとうございます!

この度別冊(別ブログ)をはじめました。
新たに用意したのは原作のイメージから外れた作品をどうしようか考えまして続きものをパスワードにかけるのは読むのも面倒ですし苦手な方の目に触れずにすむにはと思いまして作りました。

まずは瑠璃がもし高彬との約束を忘れていなかったらというもしもの話を連載します。
この別冊は毎週月曜日の深夜24時に更新していきますので本誌(このブログ)での案内はしていません。(何かあれば別ですが)
これはこれでご面倒お掛けしますがどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m

別冊へは右側のリンクもしくはこちらから↓
空色の雑記帖

本誌では今までどおり平安編、筒井筒編、現代ものなど不定期に更新していきます(^^)
2017-05-18

飴色カルテット 〈13〉

この話は現代もので瑠璃が探偵事務所の所長で高彬はその幼馴染みでそこでアルバイトをしている大学生といったかなり異色の創作です。

続きものでして前作を未読の方はカテゴリの『探偵モノ』からどうぞ。

今回は高彬語りです。

どんな設定でも大丈夫という方はスクロールしてどうぞ↓




・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆





総合病院の診察室────

やっぱり瑠璃さんについてきて正解だった。

「うちは白の他にピンクや水色もあるんですよ」

「いえ、あたしは・・・」

瑠璃さんは困った顔で笑っている。

宗衡氏の依頼で患者に法外に高い薬を売り付ける悪徳業者を捕まえるため潜入捜査の打ち合わせに来た。

出来ることならせっかく瑠璃さんにいい返事をもらったあとにこの男に会いたくなかったんだけど仕事熱心な瑠璃さんにそんなこと言えるわけもなく今にいたる。

通された場所は宗衡氏が普段使っている診察室でそれだけでも二人きりにさせられない上に潜入するならとこの病院のナース服を薦めてきた。

瑠璃さんのナース服姿は・・・見たくないわけじゃないけどこの男に見せたら空いている病室にでも連れ込まれかねない。

なんとか阻止しようと考えていると

「潜入するのはウチの所員の守弥が患者として病院に潜り込みますので」

瑠璃さんが断った。

「そうですか。残念だなぁ、瑠璃ちゃんすごく似合いそうなのに。あ、いつでもお貸ししますよ」

ニッコリと微笑む。

瑠璃ちゃんと呼ぶのも馴れ馴れしくてムッとしながら

「ナース服は必要ないですけど男物の患者用病院着をお借りしますよ」

ぼくが言うと

「番犬くんも潜入するの?」

「変なあだ名つけないで下さい。犯人に逃げられないように見張り役で来ます」

「そう」

素っ気なく返事をされた。随分態度が違うじゃないか。別にいいけど。

「業者が来るのは火曜と木曜でしたね」

瑠璃さんが聞くと

「仕事を終えるとどうやら病室を回っているらしいんだ。それに病院に来る業者が一人とは限らないからどの人物か絞れないんだよ」

「患者さんに聞き込みは?」

「もちろんしているけど顔を覚えていなかったり記憶が曖昧だったりで」

「・・・そうですか。取り合えず月曜から潜入捜査を開始しますね」

「ありがとう」

瑠璃さんの手を取ろうと差し出してきた手にすかさず自分の手を入れて掴むと力を込めて握った。

握手なんかさせるか────

「よろしくお願いします」

笑顔で言うと相手もまた力を入れて笑顔で握り返してきた。

「こちらこそ」

お互いパッと手を離すと

「そういえば瑠璃ちゃん具合どう?なんなら俺が診ようか?」

「いえ、ただの寝不足でしたし大丈夫です。それでは宗衡さん────」

「宗衡でなくて鷹男」

「あ、えっと鷹男さん。また後日」

「さんはいらないって言っただろ?はい、鷹男って言ってみて」

なんで言い直しさせるんだよ!

「はあ、たか───」

「行くよ瑠璃さん」

付き合ってられるか。

最後まで言わせず瑠璃さんの手首を掴むとドアに向かった。

「瑠璃ちゃん、お父上によろしく」

「あ、はい」

瑠璃さんの父親と親しいのか?

なんとなく嫌な予感がしてそれを振り払うように診察室を出て病院の出口へと向かう。

「ちょっ、高彬?」

慌てた声に構わず病院の外まで出ると辺りは暗くなっていた。

手首を掴んだまま少し歩いたところで

「あの人の言うことに素直に従わなくてもいいんじゃない?」

ついイライラして強い口調で言うと

「まあ、一応お客だし・・・もしかして妬いてるの?」

悪戯っぽい目で見てくる。

「妬いてなんかっ・・・」

言いかけて口を噤むとゆっくり息を吐き出した。

「妬いてるよ。当たり前だろ?」

意地を張っても仕方がないから素直に言った。

「!」

ふと瑠璃さんを見ると街頭の明かりを受けた顔が真っ赤になっている。

「どうしたの?」

「あー、その、冗談で言ったのに・・・あっさり認めるんだもん。あたしもさっきまで兵部さんに妬いてた・・・」

恥ずかしそうに俯いた。

「かっ・・・」

「か?」

「なんでもない」

口元に手を当てて俯く。

かわいい!!

こんな瑠璃さん初めてみたかも・・・連れて帰りたい・・・

やっぱり一人暮らしを────

つい考え込んでいると

「────?高彬?」

「えっ?何?」

慌てて聞き返す。

「だからお腹すいてない?何か食べて帰ろっか?」

「あ・・・うん、そうだね」

邪な気持ちを振り払うように短く息を吐く。

「この間のホテルのお礼にあたしが奢ってあげるね。何がいい?」

ぼくを見上げてニッコリ笑う。

「それなら・・・」

瑠璃さんがいい───

なんて言ったら怒るかな?

振り払ったはずの邪な感情がふっと湧いてくる。

「瑠璃さんは何がいい?」

「もうっ高彬が食べたいものじゃないと意味ないでしょ!」

「うーん・・・」

そう言われても思い付くのは一つしかなくて・・・

「じゃあパスタで」

やっぱり言えないや。

「うん、駅前のとこでいい?」

「いいよ」

なんでもよかったんだけどこの前事務所で水無瀬さんと瑠璃さんが行きたいって言ってたのを思い出した。

*****

食事を終えると瑠璃さんが事務所に行くと言うので一緒に行くことにした。

事務所に向かって歩きながら瑠璃さんがぼくを見上げる。

「先に帰ってもいいのに」

「平気だよ。二人で仕事したほうが早いだろ?それに今日の調査書を書くならぼくの意見も必要だろうし」

「それもそうね、ありがとう。なんか頼ってばっかりね」

ため息を吐いてる瑠璃さんの手を取ると指を絡めてぎゅっと握った。

「頼ってよ。ぼくは瑠璃さんに頼られたいんだ」

「うん・・・」

手をつないで歩くだけで心臓が高鳴って心が温かい。

手をつないだのは初めてじゃないのに片想いのときとは全然違うんだな。

事務所に着いて中へと入ると誰もいなかった。二人きりなんだと思ったら瑠璃さんを後ろから抱き締めていた。

「!」

一瞬肩がこわばる。

『あたしでよかったら・・・』

なんて言われていつになくかわいい瑠璃さんを見たら我慢できなかった。

「たっ高彬、仕事しなくちゃ」

「うん」

返事とは裏腹にぎゅっと腕に力を込める。

「ちょっ・・・」

抗議をしようと振り返る瑠璃さんの頬をそっと包んだ。

「キスしていい?」

じっと見つめるとパッと顔が赤くなりぼくを睨んだ。

「あっあんたね、今まで断りもなくキスしてたくせに────」

「!」

唇にそっと触れて瑠璃さんの顔を見るとふっと笑った。

確かにそうだ・・・

「じゃ遠慮なく」

「なっ!────んっ」

唇を塞ぐと喉の奥が鳴って胸に置かれた指に力が入る。さらに強くキスをするとシャツを掴まれた。

唇が離れた隙に

「仕事が・・・」

とか

「待って・・・」

と言われたけど先を言わせまいと何度も唇を交わす。

すぐそばの来客用のソファに倒れ込むように座ると瑠璃さんの潤んだ瞳が目に飛び込んできてドキッとした。

「続けてもいい?」

小さくコクンと頷くのを見て後頭部に手を回すと唇を貪った。

瑠璃さんとキスをするのは三回目だけど手を繋いだときと同様以前とは違うものがある。

あのときは焦りがあったけど受け入れてもらえた今は充足感があってずっとこうしていたい。

まずい・・・止まらなくなりそうだ。

もう片方の手を服の上から胸の膨らみに這わせると体がピクンと反応する。

止めなきゃダメ・・・かな?

「!?」

廊下の奥の方からカツカツと足音が聞こえてきた。

「わっ!」

その瞬間弾かれたように瑠璃さんがぼくを突き飛ばす。

瑠璃さんは勢いよく立ち上がると軽く乱れた髪や服を整えて深呼吸している。

いったい誰だよ!?こんな時間に────

足音はピタリと止まって

「あっ、階を間違えたよ。三階だ」

もう一人いるらしく声をかけたあと足音は遠退いていった。

「・・・」

お互い顔を見合わせると瑠璃さんの顔が一気に赤くなってキッと睨まれた。

「じっ事務所でキスとかそういうのは禁止!!!」

「えっ!」

「心臓がもたないわっ!」

瑠璃さんはデスクにつくと書類を書き始めた。

ぼくもため息を吐きながらデスクにつくと瑠璃さんをチラリと見る。

まさに一心不乱に書類に向かっていてさっきまでの雰囲気は遥か彼方へ行ってしまった。

オプション付き覚悟で一人暮らししようかな・・・


【つづく】

オプションとはもちろんあの人です。あの人が入り込めないいい物件見つかるといいんですけど(笑)
2017-05-09

飴色カルテット 〈12〉

どうも、茜です。ご訪問ありがとうございます(*^^*)

本ブログ、別冊への拍手やコメントありがとうございます!この場にてお礼申し上げますm(__)m

本ブログの方、更新のペースがゆっくりになってきて気付けば飴色も勿忘草も同じ番号になってしまいました(^^;

なんとかハッピーエンド(最終回)までもっていきたいと思ってますのでどうぞよろしくお願いいたします。

今回ちょっと長めの話になってますがようやくお互いの気持ちが通じました。


この話は現代もので瑠璃が探偵事務所の所長で高彬はその幼馴染みでそこでアルバイトをしている大学生といったかなり異色の創作です。

続きものでして前作を未読の方はカテゴリの『探偵モノ』からどうぞ。

今回は瑠璃語りです。

どんな設定でも大丈夫という方はスクロールしてどうぞ↓






・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆





よく晴れた休日の公園。

家族連れやカップル、ジョギングしてる人や散歩をしている老人など様々な人たちに混ざりながら高彬と兵部さんの後をつけて歩く。

守弥はさらにあたしの後ろを歩いているはずだ。

兵部さんをストーキングしているであろう犯人を見つけるために高彬が恋人のフリをして公園デートしているところなんだけど・・・

事務所にもう少し人がいれば尾行もやり易いんだけどなぁ。零細なんだから仕方ないわよね。

ベンチに腰かける二人をやり過ごし後ろから見える位置のベンチに座ると読書をするフリをしながら辺りを見渡す。

こんなところで兵部さんに近付いたりしないだろうけどあの二人を見ている怪しいヤツがいたらアタリだ。

今のところそれらしい人はいなくて反対側に守弥の姿が見える。打ち合わせ通りね。

それとなく二人に目を移すと────

楽しそうな兵部さんの横顔が見える。

ほんとの恋人同士みたいだわ・・・

そう見えないと困るんだけど胸がチクリと痛む。

頼んだのはあたしなんだからと自分に言い聞かせてまた目を周囲へと向けた。

暫くしてお弁当を食べ始めているみたいで兵部さんが甲斐甲斐しくお茶を手渡していた。

お弁当かぁ、手作りなんだろうな。この前持ってきたクッキーも美味しかったし。

お弁当なんて作ったことないや。そもそも料理苦手だし。

男の人はやっぱりこういった女の子がいいんでしょうね。どーせ女の子らしくないわよ・・・ってなに考えてんのよあたしは。

そういえばデートなんてここ数年してないな。彼氏に裏切られてばっかりで(あたしの見る目もなかったんだけど)どこかで懲り懲りだなんて思ってた。

「・・・・・」

いっ、いけない。仕事よ、仕事。

高彬から視線を逸らすと短く息を吐いて気持ちを切り替えようと不自然にならないように背伸びをした。

一日デートをしたくらいですぐには見つからないわよね。もし兵部さんに彼氏が出来たと思われたなら要注意なのはむしろこの後からで───

兵部さんがベンチを立つと歩き出した。

トイレかな?

守弥に目配せしてあたしは兵部さんについて行った。

辺りに気を配りながら歩いて無事に高彬のところに戻るところで異変に気付いた。

高彬の前に男が立っている。

誰?もしかして犯人!?

慌てて後ろから兵部さんの手を引くと

「きゃっ!九条さん?」

兵部さんにはあたしが来ているのを知らせていなかったのよね。

「説明は後でするからこっち来て!」

兵部さんの手を掴んだまま高彬の方に向かう守弥に向かって走った。

「!」

守弥があたしに気付いて

「九条さん、高彬さまに・・・」

「兵部さんをお願い!」

兵部さんを守弥に預けて高彬がいるベンチへと急ぐ。

まさかこっちに来るなんて!

痩せてひょろっとしてる男だけどもし高彬が襲われたら───

考えたことにゾッとして必死で足を動かしてもなかなか近付けなくて気持ちばかり焦る。

高彬の前にいる男が何か言っているようだけどここからでは聞こえない。

興奮してる?

武器になるようなものを持っていないとも限らないから気付かれないように後ろから近付いて行った。

「───俺が聞いてるんだ!」

「・・・違います」

高彬は答えるとスクッと立ち上がった。

「!」

男は一瞬怯んで逃げ出そうとしたけど正面に立っているあたしに気付いて左右を見渡している。

「話を聞かせてもらいますよ」

男はあたしに向かって走り出そうとしたけど高彬に腕を引かれ逆にベンチに座らされた。

力はないみたいね。

あたしも逃げ出さないように男の前に立った。

「探偵事務所の者です」

男に向かって言うと観念したようでぼそぼそと話始めた。

ストーキングしていたのは確かに自分だけど金で雇われただけだと言う。高彬と一緒にいるところを見て男がいるならその相手を教えればまた金が貰えるんじゃないかと高彬に声をかけたそうだ。

それにしても今まで気付かなかったのはあまり熱心じゃなかったからみたいね。

ただの雇われの身なもんだからすぐに誰に頼まれたのかも喋った。

兵部さんに確認すると

「中務さん?・・・あっ!お見合いを断った人です。断った後もしつこくされて父に相談したらパッタリと止んだんですけど」

「逆恨みってやつかしらね」

お金使ってまで陰険なことするヤツもいるのね。

男の方は身元を確認してまた何かするようなら警察にすぐに通報すると言って帰した。

男が立ち去ると守弥が

「中務氏のことは私に任せてくれませんか?」

「何かあるのか?」

高彬が聞くと

「はい。あの方のことは以前から知ってますし弱味の二つ三つ握ってますから」

「またお前は・・・」

淡々と話す守弥に高彬が眉をよせ嫌な顔をしている。

守弥って前から思ってたけど結構危ないヤツなのかも。

「そ、それじゃ守弥頼んだわよ。それから犯人は見つかったけど兵部さんを家まで送らないと」

「守弥頼んだぞ」

高彬が守弥にニッコリと微笑んでいる。

「・・・かしこまりました」

「あっ、いろいろとお世話になりました。後ほど事務所に伺います」

「ええ、待ってるわ」

兵部さんはお辞儀をすると守弥と帰って行った。

「無事解決ね」

並んで歩きながら高彬を見上げると疲れた表情で

「瑠璃さん、ぼくはもう二度と誰かの恋人のフリはやらないからね」

「うん、よかった」

「え?」

高彬がパッとあたしを見ると目を見開いている。

「あれ?」

・・・あたし今よかったって口に出して言った!?

気が抜けてつい本音が・・・

「瑠璃さんっそれって───」

「あー!宗衡さんと打ち合わせがあったのよね~。ほらっ行きましょ」

しまった・・・はぐらかしてしまおう。

早歩きで行こうとするとパシンと手首を掴まれた。

「!たっ高彬?」

動揺して声が裏返る。

「今よかったって言ったよね?それってぼくが兵部さんの恋人のフリをしてたのが嫌だったってこと?」

うっ・・・

じっと真剣な目で見られる。

「答えて」

どうやら逃げられそうにない。ぐっと唇を引き結んだ後

「あっあたし料理出来ないわよ」

「へ?」

「お弁当も作ったことないし」

「うん?」

「お菓子ももちろん作れないし、女の子らしいこと全然出来ないのよ」

高彬はふっと優しく微笑んだ。

「ぼくは瑠璃さんがいいんだ」

「・・・こんな仕事だし普通の恋人みたいにデート出来ないかもしれないわよ」

「わかってる・・・他に言いたいことは?」

覗き込むように見られる。

「う、浮気とか二股とかは許せないんだけど」

「しないよ。それから?」

「そっ、それから」

あんまりじっと見られるから恥ずかしくなってふいっと俯く。

「高彬に振られたら誰に慰めてもらえばいいのよ」

「ぼくが瑠璃さんを振ることはないよ」

「そんなこと・・・」

わからないじゃない───

と口を開きかけると

「絶対にないよ」

強い口調で言われた。

絶対なんてと思うのに高彬が言うと本当にそんな気がしてくる。

「他には?瑠璃さんが思ってること全部言って」

気付くともう片方の手も取られてきゅっと握られた。

高彬はあたしのすべてを受け入れようとしてくれている。

昔からそうだ。いつも優しくて────

あたしはズルい。臆病で言い訳ばっかりして・・・

あたしよりもっと高彬に相応しい人がいるのかもしれない。

だけど───

見上げて微笑む顔が誰かのものになるのかと思うと胸の奥が絞られるみたいで苦しい。

高彬が好き────

「あたしでよかったらその・・・よろしくお願いします」

カァッと頬が熱くなる。

「瑠璃さん────」

掴まれた手を目の前まで上げられると両手で包まれ高彬が額をコツンと当てた。

「嬉しい」

ため息混じりに言われてドクンと心臓が跳ねる。

「たっ高彬そろそろ行かないと」

なんだか恥ずかしくなってきた。外だし。

「あ、うん」

照れくさそうに笑うと片方の手は繋いだまま歩き出す。

これから打ち合わせがあるのに顔がにやけてしまいそうだわ。

こんなことなら仕事入れなきゃよかったなぁ・・・ってダメよしっかりしなくちゃ。

そう思うそばから顔がにやけてしまう。

少し冷たい風を心地よく受け嬉しい悩みに困りながら夕暮れの公園を手を引かれて歩いた。


【つづく】

2017-05-02

飴色カルテット 〈11〉

この話は現代もので瑠璃が探偵事務所の所長で高彬はその幼馴染みでそこでアルバイトをしている大学生といったかなり異色の創作です。

続きものでして前作を未読の方はカテゴリの『探偵モノ』からどうぞ。

今回は高彬語りです。

どんな設定でも大丈夫という方はスクロールしてどうぞ↓




・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

事務所を出て街路樹の列なる歩道を兵部さんと歩いていると

「・・・らさん、藤原さん!」

シャツの裾を引っ張られた。

「えっ?」

振り返って兵部さんを見ると慌てている。

「信号赤ですよ?」

「あっ・・・」

車道に目を戻すと信号は赤で目の前を車が横切っていく。

しまった。

ちゃんと兵部さんを送らないといけないのに。

「ごめん、ありがとう」

「いえ・・・」

ダメだな。自分で思ってるより動揺してる。

掌を額に当ててため息を吐く。

さっき事務所で瑠璃さんに兵部さんの恋人のフリをするように頼まれた。

兵部さんの為にも犯人を早く捕まえたほうがいいに決まってるし瑠璃さんだってそう思って言ってるんだろうけど────

ぼくのことなど弟くらいにしか思ってないからそんなこと頼めるのかもと思うと胸がざわついて瑠璃さんの顔を見れなかった。

「あのっ、すいませんでした」

「?」

チラリと見ると兵部さんは俯いたまま

「あんなこと言って・・・私でもお役に立てるならと思って」

「兵部さんはいいの?さっきも言ったけど危険な目に遭うかもしれないし」

「はいっ!大丈夫です」

顔を上げ勢いよく言ってきた。

・・・断ってくれたら良かったんだけどな。

信号が変わってまた歩き出す。

瑠璃さんからよろしくと言われたら断れないじゃないか。守弥のヤツ余計なこと言ってくれたよな。

気付かれないようにそっとため息を吐く。

ふと昔のことを思い出した。

瑠璃さんに彼氏が出来た頃自棄になってその時告白してくれた同級生と付き合ったことがある。

だけど────

反って瑠璃さんのことばかり考えてしまってダメだった。

瑠璃さんだったらこんなときなんて言うかなとか瑠璃さんだったらどうするかなとかそんなことばっかりで相手にも自分にも嘘をついて結局苦しかった。

やっぱり瑠璃さんを諦めるなんてぼくには出来ないってことがわかっただけだったな・・・

それにしても引き受けたものの恋人のフリなんてどうすればいいんだ?守弥にやらせればよかった。

今からでも遅くないんじゃ────

「あっ、明日デートしませんか?」

「え?」

「デートすれば恋人らしく見えるかと思って・・・明日は休日ですし」

「・・・」

仕事だし仕方ないかな。

「そうですね、明日迎えに行きます」

「はい!」

犯人・・・出てくるだろうか────

それとなく辺りを見回してみるけど特に怪しい人は見当たらない。

「どこに行きますか?映画とか遊園地とか・・・水族館もいいですね」

にっこり笑いかけられたけどついと視線を逸らした。

「人混みとかは避けたほうがいいでしょう。公園にしませんか?」

「あっ!それなら私お弁当作ってきますね」

「あ・・・はい」

楽しんでいるように見えるけど大丈夫かな?

気付くと兵部家の門の前に着いていた。

「明日時間は────」

何時にしようか考えてると

「10時でどうですか?」

「もう少し遅くても・・・11時でどうでしょうか?」

「あっそうですよね。すいません張り切っちゃって・・・それじゃ明日」

ペコッとお辞儀をすると門の内へと消えていった。

これから事務所に戻って報告を────

ハアッとため息が出た。

瑠璃さんも了承していることとはいえ報告するのも気が重い。

引き受けたことを激しく後悔した。

*****

「ふーん、そうデートね。いいんじゃない?」

そう、わかっていた反応だ・・・

だけど────

デスクからぼくを見てにっこり微笑む瑠璃さんに正直落ち込む。

「それじゃ明日のデート張り込ませてもらうわよ。犯人が現れるかもしれないから。夕方から宗衡さんと打ち合わせだからそれまでの間は見張れるわね。守弥、明日一緒に張り込むわよ」

瑠璃さんがお茶を入れてきた守弥に声をかける。

フリとはいえデートを瑠璃さんと守弥に見張られるのか・・・別に疚しいことなどないけどこれはこれで気が重い。

やっぱりここは守弥に────

「そのデートだけど言い出した守弥が恋人役をやったほうが」

「いえ、私はこういったことは不得手ですし高彬さまの方がお似合いですよ。兵部さまもその方がお喜びになるでしょうし」

「ばっ、なに言って────」

瑠璃さんの前で変なこと言うなよ!

「いいじゃない、お似合いなんだし」

バッと振り返るとさっきと変わらない笑顔だけど・・・

気のせい・・・かな?

一瞬眉が眉間に寄ったような───

「さっ、明日の打ち合わせしましょ」

すぐにでも告白の返事を聞き出したい衝動に駆られたけど今言ったら瑠璃さんはきっと機嫌を損ねるだろう。

早くこの事案片付かないかな・・・


【つづく】